物件が増えてきたら「そろそろ法人化?」と考え始めます。課税所得・物件数・相続、どの軸で見るかで正解が変わります。宮城でサラリーマン大家として規模拡大中の方向けに、法人成りの判断軸を整理します。
①税率:個人の所得税+住民税は最大55%、法人税は実効税率約33%。課税所得が高いほど法人が有利。②経費範囲:役員報酬・退職金・生命保険・家族への給与が経費化可能。③損失繰越:個人3年、法人10年。④相続対策:法人株式で承継すれば不動産評価より有利になるケース多数。⑤融資:プロパー融資は法人の方が通りやすい(事業性融資として評価される)。これら5つのメリットのどれを取りに行くかで、法人化のタイミングも中身も変わります。
単純な税率比較なら「課税所得900万円超」が法人化ラインの目安。所得税率33%+住民税10%=43%になる水準。法人(実効税率33%)にした方が手残りが増えます。ただし法人化すると ①社会保険強制加入(役員報酬に対して約30%)、②法人住民税の均等割が毎年7万円〜、③決算料・顧問料が年30〜60万円 ─ という固定コストが発生。年間の節税額がこれらを上回るラインが、現実的には課税所得900〜1,200万円レンジです。
物件3戸超、家賃収入1,000万円超の段階で「事業的規模」が視野に入ります。このタイミングで法人化すると、融資戦略が大きく変わる。個人の属性枠(パッケージローン・年収×20倍など)はもう使い切っている場合が多く、法人プロパー融資に切り替えると規模拡大のスピードが倍になるケースも。宮城の地銀(七十七・仙台・東邦)は法人融資に比較的前向きなので、5〜10棟規模を狙うなら法人化は必須に近いです。
相続税対策として法人化するパターン。個人保有の収益物件は相続時に路線価+建物固定資産税評価で評価されますが、法人化して株式にすると「会社の純資産評価」になり、純資産=簿価ベースで評価できる仕組みを活用して評価額を下げられるケースがあります。また、家族を役員にして役員報酬を払うことで、相続財産自体を徐々に移転できる。子供を後継者として想定しているなら、50代前半での法人化が節税効果を最大化します。
選択肢は3つ:①法人に売却(売買):譲渡所得税(長期20%)+不動産取得税+登録免許税=物件価格の5〜7%が一時コスト。②現物出資:会社設立時に物件を出資。税制面は売買とほぼ同じ。③新規物件だけ法人:既存物件は個人保有のまま、今後買う物件を法人で。コストゼロだが節税効果は既存物件には及ばない。一般的には③から始め、既存物件の移管は必要に応じて検討、というのが宮城の実務感覚です。
不動産投資法人は合同会社(LLC)で十分なケースが多数。設立費用:合同会社6万円 vs 株式会社25万円。決算公告:合同会社不要 vs 株式会社必要。対外的信用:株式会社やや有利だが、融資審査で大きな差は出ない。将来の上場・外部出資の予定がなければ合同会社で。役員構成も家族のみで柔軟に設計できるのが合同会社の強みです。
最低限の固定費:①法人住民税均等割7万円/年(赤字でも発生)、②顧問税理士料30〜60万円/年、③決算料10〜20万円/年、④社会保険料(役員報酬に対して約30%)。つまり役員報酬200万円/年を取るなら、追加の社会保険負担が約60万円。これら合計100〜150万円の固定費を超える節税・規模拡大メリットが出るかが、法人化の判断ラインになります。
「うちの収入規模・物件数で法人化すべきか分からない」「いつ、どの順番でやるべきか」の壁打ちは、LINEでお受けしています。弊社は税理士ではないので最終判断は税理士と相談いただく必要がありますが、宮城で5棟10室規模に到達した大家さんの実例を多く見ているので、パターン別の進め方についてはお話できます。紹介可能な不動産特化の税理士も何名かいますので、お気軽にご相談ください。